セドナ(90377 Sedna)は、将来準惑星(冥王星型天体)に分類される可能性がある太陽系外縁天体のひとつです。太陽系外縁天体とは、太陽系の最も外側に位置する海王星の、もっと外側を周る天体の総称です。かつて惑星とされていた冥王星もこの中に含まれます。冥王星型天体とは海王星の軌道半径よりも大きく、自身の重力によって球形となるだけの十分な質量を持ち、かつ軌道を占有しないものです。現在冥王星型天体として分類されているのは冥王星、エリス、マケマケ、ハウメアの4つですが、将来はセドナがこれに加わり冥王星型天体は5つとなるかもしれません。実はこれに加えて、40を超える天体が冥王星型天体として分類される可能性もあります。
目次
セドナの発見
セドナは2003年11月14日にカリフォリニア工科大学のマイケル・ブラウン、ジェミニ天文台のチャドウィック・トルヒージョ、イェール大学のデヴィッド・ラビノウィッツによって発見され、2004年9月に小惑星番号90377として登録されました。セドナの名前は北米極北地方に住む原住民の海の女神セドナに由来しています。セドナは厳寒の北極海の海底に住み「海の女王」と呼ばれ、海に住む動物の管理を行い、海底で海の死者の国の管理者となりました。
セドナの特徴
セドナは太陽からとても遠いため太陽光がほとんど届かず、表面温度はマイナス240度以下と考えられています。軌道は長い楕円形をしており、太陽を1周するのになんと11000年以上もかかります。また、太陽系では火星に次いで赤い色をした天体です。直径は冥王星の約43パーセントにあたる995キロメートルほどであると見られています。発見当時は直径1700キロメートルと推定され、1930年の冥王星発見以降に太陽系で見つかった天体の中では最大でしたが、後に直径2400キロメートルのエリスが発見されます。
セドナは極寒の世界
前述のとおり、セドナは太陽から130億キロメートル以上も離れており、表面温度はマイナス240度以下という世界です。あまりにも小さく冷たいため、NASAのスピッツアー宇宙望遠鏡が赤外線によるセドナの観測に失敗したほどです。
セドナの明るさ
ハーシェル望遠鏡の観測によると、セドナが受け取る太陽光の3分の1を反射していることが示されました。これは予想をはるかに超える反射率で、セドナは考えられていた以上に明るい天体であることが分かります。これほど反射率が高いにも関わらず、セドナはとても暗い天体です。つまりセドナはとても小さい、ということになります。
セドナに衛星はあるのか
発見当初、セドナの自転周期はおよそ40日と推定されていました。なぜこのように非常に長い自転周期なのか考えられた結果、セドナには衛星が存在し、その潮汐力(ちょうせきりょく)によって自転が減速されたのではないかと推測されました。しかし、ハッブル望遠鏡の観測では衛星は発見されず、セドナがある程度の大きさを持った衛星を持っている可能性は極めて低いとされました。さらにその後の観測によって、実際のセドナの自転周期は10.3時間であり、当初の40日は誤りであったことが分かりました。いまでもセドナに衛星は見つかっていません。